秋は…
食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋…
いろいろ言われていますが…
やはり
総合型選抜入試の秋
これです。
はい、次いってみよー
総合型選抜入試は、昔は「自己推薦入試」さらに前は「一芸一能入試」と言われていた入試です。
この入試は現在どのように行われているのか、そしてそれを受験する際に失敗しない方法は何かについて紹介します。
総合型選抜入試とは
まずは大学の総合型選抜入試について解説をします。
総合型選抜入試は自己推薦
一般的に広く認識されている推薦入試は、高校(正確には学校長)から
うちのこの生徒は、取り組み方もよく、さまざまな活動もしてきました。勉強の結果も良好です。良い生徒ですので、紹介させていただきます。おたくの大学にいかがですか?
と推薦される試験を想像する方も多いでしょう。
それは現在は「学校推薦型入試」と呼びます。
この入試はあくまでも学校が推薦するので、どんなに生徒がその大学を志望したいといっても、たとえば高校の指導方針に従っていないことが目立っていたリ、勉強をしっかりして来ずに良くない成績に終わっているような生徒を推薦はしません(そのため、「○○大学の◯学部を目指すには、評定平均が3.8以上なければ推薦を目指すことはできません」といった、その大学の推薦枠を取るための「評定基準」が高校内で定められています)。
一方、この総合型選抜入試は、あくまでも推薦するのは自分自身です。言ってみれば自分で自分を推薦する、「立候補」みたいな感じです。
総合型選抜入試の試験内容と大学の評価ポイント
総合型選抜入試の内容について紹介しましょう。
- 【主な評価内容】
-
学力試験をはじめ、面接、小論文、課題発表など、複数の評価方法を組み合わせた入試形式が一般的で、大学によってはさらに志望理由書や自己PRも評価対象となります。
- 【多彩な評価方法】
-
学力試験でなく、個人のスキルや性格、人間性などにも注目する評価方法です。中にはプレゼンテーションを課す大学もあります。
- 【さまざまな活動内容の評価】
-
ボランティア活動や部活動、学外のプロジェクトへの参加など、学校外での実績も評価される場合があります。
総合型選抜入試のデメリット
総合型選抜入試にはデメリットもあります。それは次のとおりです。
評価基準があいまいである
学科試験であれば「○○点以上取れば合格できる」とか「偏差値○○以上になれば望みがある」と目標を立てやすいのですが、総合型選抜入試の評価内容は数値化しにくい要素が多いため、どこまでできれば合格となりそうかのラインが見定めにくい点があります。そのため、受験生本人をはじめ、親御さんも不安な中準備をしなければなりません。
学力以外のスキルが求められる
高校の授業で、大学受験を目指しつつ力をつけていくのは、学力です。けれども、その他の要因については、大学受験のために力を入れてスキルアップを図ることは少ないでしょう。そしてそこで求められる、コミュニケーション能力や表現力などの資質こそ、お子さまが苦手とするというケースが目立ちます。そのような学力以外の力をつけて、総合型選抜入試に立ち向かわなければなりません。それだけに、具体的にどんな対策をして臨むかという計画が立てづらい面もあります。
不合格の場合のリスクが大きい
総合型選抜入試は、日程的に他のタイプの入試よりも早いため、早く合格できれば気分的にもかなり楽になりますし、他の人に先駆けて将来の道が開かれるので、それは大きな利点です。
けれども、逆にそれだけ早い対策が必要であること、また、他のタイプの受験とは質的に異なるため、他の受験と組み合わせにくいこと、それだけ多種な準備をしなければならず、その後の入試の対策が取れないことなど、大きな無理が生じてしまいます。
けれども最も大きなリスクは、たとえダメもとで総合型選抜入試を受けるとしても、合格可能性が低いとわかって試験を受けたとしても、不合格の判定を受けることの精神面のダメージはぬぐいきれないということでしょう。
一番傷つくのはお子さま本人です。ですから、総合選抜型入試を受ける場合、どのような動機で受けるのかはきちんと確認すべきでしょう。
もし理由が「試験が学科試験じゃないから」「早く決まるから」「みんなが希望するから」っていうなら、私なら引きずり下ろします
たとえそれで合格できても、それに味をしめて「大学入試で学科試験を受けなくても合格できた。今度もうまく楽をしてやろう」と考えて大失敗する未来も考えられますから(※総合型選抜入試が楽だとは言っていません)。
ネットニュースが語る総合型選抜入試
まずはこちらのニュース記事を紹介します。
出典は朝日新聞デジタルから「【大学受験】総合型選抜で増える「下克上」 偏差値の大逆転ができる入試を専門家が解説」
執筆は追手門学院大学客員教授で学習塾業界誌「ルートマップマガジン」の西田浩史編集長です。
親世代が大学受験生だった時代は、学力試験による大学への入学者が多数を占めていました。しかし、現在は下記のように状況が変わっています。
●2023年度の年内入試(総合型選抜、学校推薦型選抜)による大学入学者は50.7%
→一般選抜より、年内入試による入学者のほうが多い。一般選抜の募集人数は減少傾向
●学力試験を課さない総合型選抜を実施する大学が多い
→早慶やGMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)、一部の国公立大学など。書類審査(志望理由書も含む)、小論文、面接やグループディスカッションがスタンダード
親御さんの頃は、とにかく試験があるから勉強をという感じだったと思います。
それとは違って、学力試験が下手すればない入試というものに違和感をもつ親御さんも多いことでしょう。
よりによって難関校こそそのような傾向があるというのは意外ですね。
総合型選抜については、早期からきちんと対策をすれば、高校の偏差値が30~40程度の進路多様校からGMARCHなどの難関大学にも合格できる可能性は十分にあります。筆者が300の塾の関係者に行った聞き取り調査でも、9割の塾関係者が、総合型選抜を利用すれば偏差値の大逆転が可能、つまり「下克上」が起きうると回答しています。
受験勉強を追究していく意味…
確かに見方によっては正々堂々と勉強を積み重ねる人との対比はすごいな
恐らく大学側としては、学力というふるいによってこぼれ落ちる、実は素晴らしい素質を持った学生を拾い上げたいという意図があるのでしょう
では、筆者が塾で得た回答の内容について紹介しましょう。
●総合型選抜に強い高校の特徴は?(上位の回答)
①進路に関して自由である
②大学との連携が熱心
③部活動が活発
④大学受験に詳しい教員がいる●総合型選抜の対策はいつから始めるとよいか
高校1年 51%
高校2年 28%
高校3年 21%
●総合型選抜に向けて力を入れるべき対策
評定平均を上げる 33%
課外活動の実績をつくる 31%
志望理由書 12%
小論文 11%
面接対策 10%
その他(過去問題分析など) 3%
●何校くらい受験するべきか
1校 10%
2校 24%
3校 50%
4校 7%
それ以上 9%(ルートマップマガジン社が2024年に実施した、全国300塾への聞き取り調査から)
調査結果からは、早い時期から「評定平均を上げる」「課外活動の実績をつくる」に力を入れることが対策につながることがわかります。なぜなら、この2つが志望理由書と面接での回答に大きく影響するからです。
最初の総合型選抜に強い高校の特徴は、ひとことで言うと生徒を枠に押し込めずに能力を伸ばし、多くの機会に触れさせようとする学校ということでしょうか。
そのような学校に入るお子さまは幸せですね。
対策はいつからかという質問は、まさに「鉄は熱いうちに打て」でしょう。
確かに学力では、高校1年の段階ではまだまだ高校の履修内容の全体像が見えてこないはずです。英国数は試験範囲の半分も終わっていないし、理社に至っては2年次からが本格始動です。けれども、総合型選抜入試で評価されるさまざまな資質は、1年の段階から伸ばすことが可能でしょう。また、早いうちに大学が求めることがわかっていれば、それに早速力を入れておくことができます。
このような力をつけるには長い時間がかかります。3年生になって慌てて始めるようでは、十分な修得もままならないでしょう。何といっても大学に対する意識が薄いと思われます。
力を入れるべき対策は、そこにランクインした内容はすべてとりもなおさず書類審査の内容です。その評価を良くしようと努力をすべきですから、当然といえば当然です。
何校くらい受験するべきかは、これは人によるということでしょう。学校のレベル、本人の力、住んでいる地域などの要因があるからです。これは担任の先生と相談すると良いでしょう。
総合型選抜のスタイルは多様なので、自分に合った課題かどうかを検討することも重要です。
【総合型選抜の主なスタイル】①将来性評価型(議論、プレゼンテーション、表現力で評価)
→慶應義塾大学SFC、名古屋大学、神戸大学、筑波大学、中央大学法学部、千葉大学、同志社大学、関西学院大学(探究評価型)、奈良女子大学(探究力入試「Q」)、西南学院大学(学びと探究型)、南山大学(プレゼンテーション型)など
②中間型
→早稲田大学国際教養学部、お茶の水女子大学、九州大学共創学部など
③達成度評価型(資格、経験、教科学習型)
→東京大学、京都大学、一橋大学、早稲田大学スポーツ科学部など
(ルートマップマガジン社が2024年に実施した、全国300塾への聞き取り調査から)
①がスタンダードなものです。多くの大学では学科試験は課さず、書類審査や志望理由書、小論文、面接などを実施します。「大学での学習意欲」「高校で努力してきたこと」などが評価の対象になるため、実力以上の難関大学への合格を狙うならば、①の方式を狙うのがおすすめです。
③は出願要件に英検準1級以上など語学検定の成績、共通テストなどの学力試験、世界レベルのコンクール上位入賞などの条件が課されます。学力試験が得意なトップ校向きなので、逆転合格を狙うなら避けたほうがいいでしょう。
試験の内容が、お子さまの個性や特性にマッチしていれば、力を発揮できそうだね
試験内容をしっかりと研究をしておきましょう。
さすがにこの試験を対策なしで受けようとする人はいないとは思いますが…。
筆者はこのような方法を教えてくれています。
定番の「裏技」を使う手も
難関大学の総合型選抜に関しては、塾関係者の間では「定番」の裏技もあります。桜美林大学の「総合・推薦型入試準備セミナー」というイベントや入試を活用するということです。
同大学では学力検査のある総合型選抜向けに、基礎学力の定着・向上を目指すための学習プログラムを行っています。志望理由書や面接対策講座なども実施していて、いずれもオンラインでの参加が可能です。
これに早い時期から参加しておくことで、総合型選抜に関する基本から応用までの情報が得られたり、受験対策のバロメーターになったりすることが期待できます。
また、桜美林大学の総合型選抜は、難関大学と傾向が似ていて、本番前の実戦練習になるともいわれています。
私も初めてこのことを知りました。
やはり情報は大切ですね。
積極的に行動することが、未来の可能性を広げることにつながります。
だから早く行動することが必要です。
親御さんにとりましては、お子さまのこの受験の情報をまとめ、それに求められる資質をお子さまに身につけさせるサポートを家庭で行うと良いでしょう。主に思考力・表現力などを、たとえばお子さまとの会話の中で意識をさせたり、ちょっとした問いを投げかけてみたりなど、意外と「机に向かわなくてもできる勉強」ができますよ。
コメント