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大学の学部・学科にはどんな種類があるの?一挙公開

大学は、専門的な知識や技術を学べる場所です。ですから、大学で学ぶには、何らかの専門分野を選んで、高度な内容を学ぶことになります。その大まかな分野が学部となります。また、それを細分化したものに「学科」があります。

それでは、大学にはどのような学部や学科があるのかを一気に紹介します。

とくにお子さまの目指すべき学部がよくわからない、決まっていないところは、ぜひ参考になさってください。

目次

大学の学部と高校の教科との関係

大学ではかなり専門的に学びを深めていきますので、高校のようにいわゆる5教科にくまなく力を入れるということはしません。その中で関係するのは数教科のみとなります。

ざっくりいえば、いわゆる文系は国語・英語・社会が、理系は数学・英語・理科が中心となるでしょう。「あれ?英語って理系も必要なの?」と思われるでしょう。実際そうです。

ただし、私感としては「文系」「理系」と線引きをすることこそ、学問への見方を狭めてしまうと考えており、特定の分野を好き嫌いする現況にもなっていると主張したいのです。
また、たとえば経済学部は、旧来の文系・理系の線引きでいけば文系に属すると考える方が多いでしょう。けれども数学がかなり重要視される分野でもあるのです。最近は文系・理系の線引きがナンセンスであるという風潮すらあります。

ただし、今日の記事においては、皆さんに大まかな分類を把握していただくために、あえて文系・理系という分類での説明をしてまいります。

大学で重視するであろう高校における教科は、そのまま大学受験の試験科目となって課せられるので、それをご覧になれば、大学の学びが高校の学習のどの延長線上にあるのかを想定できるでしょう。そのあたりの話はまた後日行うとします。

文学部系

まずは文学系の学科を紹介します。

国文学科

古典から現代文学まで文学を研究する学科。就職の面で不安視されていますが、中学や高校教諭1種免許や図書館司書をはじめ、マスコミ・メディア・金融・流通など、実はさまざまな行き先がある学科です。

史学科

日本史や世界史の、古代史から現代史までと幅広く歴史を研究し、そこから仮説や実証を行う学科です。時には発掘調査の実習もあります。中学校および高等学校の教諭1種免許(社会や地理歴史)取得できるのをはじめ、学芸員、観光運輸業にも強い学科です。

哲学科

何かと役に立たないイメージの強い哲学科ですが、哲学だけでなく倫理学、論理学、思想など、思考力や論理性が培われる貴重な学科であり、近年は今を生きる上での大切な考え方を学べる学科です。それらの力を発揮できず就職へチャレンジできます。

心理学科

人間の心の働きを深く学べる、最近人気の学科です。文系のイメージの強い学科ですが、実際は医学・生物学・生理学・統計学などとも関連する学問領域であり、文理のバランスが求めらる学科です。将来はカウンセラーなどの仕事に就く人が多いです。

宗教学科

宗教全般を学ぶ学科です。学科によっては何らかの一つの宗教に特化したものも存在します。将来は僧侶・司祭・神父・牧師・神主などの宗教の専門職を目標とした学科が多いです。

英語文学科

英語そのものを学んだり、英文学を研究したりするケースや、英語の運用能力を高める学科です。構成する学生は、女子が多いのが特徴です。帰国子女やものすごく英語は得意な学生がちらほらいます。就職も文系学部の中でも企業受けが良く、英語を必要とする商社やメーカー、航空・観光業界に強い学科です。ただし、昨今のコロナショックにより需要が落ち込んだ経緯もあります。

教養学科

さまざまな教養を、浅く広く学ぶ学科です。文系・理系にこだわらず、バランスよく学ぶことが特徴です。学問を学ぶことに焦点が向けられているため、大学院への進学率が高めであることが特徴です。教養の広さを武器に、グローバルメーカーに就職し活躍する人もいます。

社会・国際学系

次に社会学系の学科を紹介します。

社会学科

社会全般を対象とする社会学部は非常に広い範囲の領域を学べます。就職はマスコミ関係や公務員、またIT業界などから人気です。

社会福祉学科

いわゆる福祉のジャンルを学ぶことができる学科です。カテゴリーとしては文系学科に属していますが、実際は数学的な知識が必要とされます。また介護の仕事になると、体力勝負でもありますので、さまざまな資質が必要とされる学科となるでしょう。介護のイメージが強く、一時期は不人気な学科でしたが、近年では福祉の知識を持った人を求める企業も増えてきています。

メディア社会学科

新聞やテレビ広告などのマスコミ全般を専門的に学ぶことができる学科です。大学によっては大学広報誌作成や番組制作などの実習も行うことができます。将来的には多くの人がマスメディアの仕事に就きます。しかしながら、昨今のSNSの普及によって、マスコミのあり方が広く問われている中、メディアの果たす役割を深める学科となるでしょう。

観光学科

観光関連の領域を学ぶことができる学科です。ホスピタリティ関連の学びができるため、実は管理職を養成するプログラムにもなっています。とはいえ、多くの大学には存在しない学科であり、最近になってやっと増え始めている感があります。昨今のコロナショックによって落ち込んだ観光業界ですが、今後の観光のあり方を模索できる学科となるでしょう。

国際関係学科

グローバルな観点で世界の情勢を学び取る学科です。アプローチとして政治・経済・法律をはじめ、文学や哲学などのさまざまな切り口があります。外国への留学や研修が必修扱いになる大学もありますので、その渡航費用や生活費で多額の費用が必要となるケースもあります。けれどもその経験が、就職の際の武器になることも。今後は幅広い視野が求められる分野といえるでしょう。

国際教養学科

教養を広く持つことを目標としている点では教養学科と類似していますが、国際教養学科ではそれに英語教育や海外留学の経験がプラスされると考えて良いでしょう。大学院へ進む学生の率は高め。就職はどちらかといえばなぜか地元の企業志向が強いのが特徴です。

法律・政治学系

次に法律・政治学系の学科を紹介します。

法学科

日頃の勉強はかなりハードで、レポートも毎回1万字を超えるのもザラ。ただ中には公務員志望の学生も少なくないのが現状で、地方国立大を中心に、その学生たちに対応した講義も設定するようになっています。法曹界を志望する学生は今までは法科大学院への進学がメジャーでしたが、現在では予備試験から進む学生が増えてきています。

政治学科

必ずしも政治家志望の人だけが目指しているとは限りません。政治学をあくまでも軸に据えられていますが、政治思想論、地域研究、行政学、地方分権、国際政治など幅広い領域をカバーしています。就職面では公務員志望者が多いのが特徴で、政治学科らしく衆議院事務局職員や参議院事務局職員の志望者が多いのも特筆すべきでしょう。

経済・経営・商学系

次に経済・経営・商学に関する学科を紹介します。

経済学科

経済システム全体のメカニズムを学びます。マクロ経済とミクロ経済を学んでから専門分野を深めていきます。内容的にも広範囲におよぶ上、数学の力も必要であるため、バランスの良さが求められるでしょう。将来は金融業界などへ進む人も多い一方で、定員割れしかねない大学であれば、地元の金融機関からも優遇されない両面を持っているのも事実です。卒業後の就職先も事前に見る必要があります。

経営学科

経済学科と比べ、実践面ができればよいと誤解する人も多いようですが、経営・組織管理・市場科学などの理論はしっかりと身につける必要があります。就職先は経済学科と同様に金融業界もいるが、商社への就職も目立ちます。これからは新しいビジネスの形を作り出さなければならない時代となり、経営学科の知識をもつ人の需要は増えていくでしょう。

商学科

経済学科・経営学科と類似する学科ですが、組織論やマーケティングなどの領域も手掛けていく必要があります。近年では、学びの量が多くなり、学生に求められる基準も上がっており、国公立大学や難関私大における留年率が上昇している傾向が見られます。就職は金融業界・商社・メーカーが多いです。

会計学科

経済・経営分野の学科の中では最も数字が身近な学科ですので文系の学生で数学が苦手な人は注意と覚悟が必要でしょう。1年次より簿記を学ぶところが多く、商業高校出身の学生が目立つのが特徴です。就職は難関大学では公認会計士や税理士への道があります。一般には公務員・金融業界・メーカーが目立つでしょう。

教員養成・教育学系

次に教員養成系の学科を紹介します。

教員養成課程

教員養成の専門課程です。教育実習が行われることがこの特徴でしょう。目指すところが目指すところなので、基本真面目な学生が多いところです。在学中に教員免許の取得を行うことが卒業要件となります。4年次は教育実習があるため、一般企業への就活は難しく、学生の大半は教員として就職することになるでしょう。けれども実際は他業種であっても喜ばれる学科ではあるのですが。

教育学科

教員を目指す人も多いのですが、学ぶ内容は教育そのもの全般です。ですので、教育学部では教員免許の取得が必須事項ではありません。就職は教員を筆頭に、地方公務員が多く、一般企業は少なめでしょう。

児童教育学科

幼稚園教諭や保育士を目指す学科です。実際は保育園は厚生労働省の管轄、幼稚園は学校扱いで文部科学省の管轄と異なります。この異なる点がありながらも、現在では幼稚園教諭と保育士の資格を同時に取得できる大学が増えています。対象年齢から考えるに容易いですが、子供好きなことはもちろん、絵本好き、歌が好きという人が大半です。最近は学科名に「子ども」「こども」「児童」を冠するところが増えていますが、それぞれの目標とすることは同じです。

理学系

次に理学系の学科を紹介します。

数学科

数学のあらゆる分野を深く学びます。当たり前とされる計算すら、緻密な論理を組み立てて試行していきます。かなり難解であるため、途中で心が折れる学生もいます。哲学科と並んで、他からは理解されにくい学科ととらえられています。けれども、その思考力を買われて金融業界・IT業界・教育業界に採用される人も少なくありません。

物理学科

物理学を深く学ぶ学科ですが、大学といえども、20世紀前半までの内容まで学ぶのが限度のようです。分野としては素粒子(光・電子・クォークなど)と物性(モノの性質)の「理論」と「実験」を手がけます。さらに学びを勧めたい人は、大学院への進学も考えるでしょう。「物性」を学んだ学生は、メーカーなどからの需要がありますが、「素粒子」を学んだ学生は就職で苦戦し、研究者への道を選ばざるを得ないというケースも多いです。

化学科

化学は他の理系分野どうしとの関連性が高いため、さまざまな側面の学びが必要でしょう。分野としては物理化学・無機化学・有機化学・分析化学・高分子化学・生物化学などがあります。レポートや実験が多いのが特徴です。就職は化学メーカー・電気電子部品メーカーなどからの求人は多いのですが、競争率が高いために、IT・小売・流通などの他分野に流れるケースも多いです。

生物学科

あらゆる生命体が研究対象となります。分野としては、生物を系統的に分類する「分類学」、生物内部の器官などを研究する「形態学」、細胞を研究する「細胞生物学」などがあります。それらは基礎研究であり、応用技術の習得まで至らないため、就職率の悪さを生じている側面があります。そのため、就職は生物分野にとらわれない企業などを選ぶ人も少なくありません。

地学科

地球全体が研究対象で、地史学、火山学などの「地質学」がコアとなります。その関連分野として地球物理学、自然地理学、海洋学、応用地学、気象学などの「地球科学」を学びます。大学院への進学者が多いのが特徴です。この学科は専門を生かして就職を考える傾向にあるため、就職は激戦です。この学科も、将来の確実な生活を考え、専門分野にこだわらないところを就職に選んでしまう人が目立ちます。

生命科学科

バイオテクノロジーを中心とする学科です。理学としての生物学、工業、農業、化学、医療、医学などとの関連が深く、広い領域で学べます。現在は遺伝子に関する研究が多く、理系の各学科の中で女子が多めであるのが特徴です。生命科学科は国立大学の難関校に多く、学生も質が高いため、大学院へ進学する人が多いです。けれども、生物学科と同様、就職が狭き門であり苦戦する未来が待っていることもあります。

環境学科

そもそもは地学を拡大した結果生まれた学科です。環境に関する事柄は、理工系のみならず社会学、法学、地理学などの文系分野も含んでいるため、内容的にも教養学科に近いとされています。学校によって、内容が文系寄りか理系寄りかが異なります。この違いが就職に影響します。理系寄りであれば、大学院進学者が多いですが、文系寄りあるいは地方公立大・私立大の場合は、環境関連のみならず、小売・流通・ITなど幅広くなってしまいます。

工学系

次に工学系の学科を紹介します。

機械工学科

工学部の中でも花形といえる学科です。機械技術者としての基礎を学びます。あらゆる器械・機器・装置が研究対象です。ただし、学科名の聞こえの問題で、最近は「機械システム工学科」などと改名するところも多いです。とはいえ女子の希望は少なく、学生の9割が男子です。機械技術は日本のお家芸でもあり、就職は不況であっても企業からの引き合いはあるようです。以前は自動車業界の機械関連メーカーが多かったのですが、最近はインフラ分野の電機メーカー、食品メーカーから引く手あまたです。

電気電子工学科

機械工学科に並ぶ、工学部の主要学科のひとつでしょう。電気工学科ではエネルギー(電力)を、電子工学科では情報通信・電気制御などを扱います。ただ、これらの基盤が同じであるため、両方を扱う大学が大半です。大学によってはこの学科の中に通信工学や情報工学が含まれています。就職は電力会社、電機メーカーをはじめ、自動車業界などからの声もよくかかっています。就職では損をすることがない可能性が高い学科のひとつでしょう。

土木工学科

施設、インフラ、国土開発に必要な分野であるにもかかわらず、設置大学はものすごく少ないです。「土木」という言葉から、学生に不評ではないかと考えた大学は、学科名に「環境」「社会」「都市」などを使って名付けていて、統一感が見られないのもこの学科の特徴でしょう。就職に関しては、国立大学が大学院進学が中心なのに対して、私立大の場合は公務員、土木・建設メーカーが多いです。今後必要とされる分野でしょう。

建築学科

建築の美しさと頑丈さの両面を考える学科です。海外では美術系に属するのに対して、日本では工学部系に属しています。それは日本が地震大国であるため、設計が重視されることが背景にあるでしょう。工学系の学科であるにもかかわらず、女子率が3~4割と他よりも高めです。就職はもちろん建設関係の企業が主です。大手ゼネコン、住宅メーカー、土木・道路関連の企業です。

応用化学科

化学を発展させ、工業に活かすための知識を学ぶ学科です。化学科は基礎研究が中心ですが、この応用科学科では有機化学、無機化学、高分子化学、分析化学、物理化学、化学工学の6分野を中心に学びます。大学院への進学が半数以上と高めです。就職先は、製薬、電機、自動車、エネルギー、印刷など大半の業界で応用化学を必要とするため、各業界からの誘いが来ます。

先進繊維・感性工学科

繊維について学ぶ学科です。かつて存在していた繊維工学の大学の多くが姿を消している現状にあって、現在信州大学のみが「繊維学部」と「繊維」を冠した学部が存在する状態に(京都工芸繊維大学の場合は、2006年に繊維学部は工芸科学部として統合されました)。繊維といえば衣服の素材というイメージが強いが、現在では電気、機械、建築の素材として注目されており、将来の発展が望まれる分野です。就職もアパレルメーカーをはじめ、機械、電機、自動車、輸送などのメーカーからの求人も多いです。

航海工学科

かつて勢いのあった船舶工学科も、近年までの造船業界のトーンダウンや船舶工学自体の不人気のため、改称する大学が相次ぎました。この学科では船舶工学を学んで造船エンジニアを目指すか、大型船の航海士を目指すかのどちらかでしょう。やはり女子には不人気な学科となってしまっています。就職先は海運・船舶メーカーが主流です。この学科の特徴のひとつは、進学先が大学院だけではなく、乗船実習科への道があるという点で、これらへの進学者は半々となっています。

航空宇宙工学科

飛行機やロケットの専門学科です。この学科は、大学によって学問領域が異なる点には気をつけるべきでしょう。「航空工学・宇宙工学そのものの研究」「エンジニアのための航空工学を身につけるパイロットコース」「航空整備士の養成コース」が主な内容で、大学で分かれます。就職はパイロット・航空整備士以外では航空関連業界のメーカーとなるケースがほとんどです。

経営工学科

経済・経営学と工学が融合した学科です。経営工学はもともと企業や工場の生産性を上げるために生まれた学問で、ヒト・モノ・カネという経済活動上の要素を工学的に分析する内容です。現在は会社経営全般をはじめ、社会全般も研究対象となっています。工学にも近い内容となるため、ビッグデータ、物流システム管理、行動科学、都市計画などのテーマも扱います。就職はIT業界やデータ管理・システム構築を行う企業が多いでしょう。

デザイン工学科

デザイン・美術と工学が融合した学科です。美術系学科ではデザインそのものだけを学ぶ部門はありますが、デザイン工学科ではデザインと工業製品を結びつける技術などを学びます。あくまでも工学をベースとして学びます。就職先はさまざまなメーカーが多く、IT業界もその後に続いています。

情報工学科

情報技術を主に司る分野の学科です。この学科が立ち上がった当初(1970年頃)は、プログラミング言語をはじめとするソフトウェア技術の研究が主でしたが、最近は人工知能も学びの対象となってきました。また、カバーする範囲も広がった上、電気電子工学や通信工学との親和性も高く、IoTの流れも相まって、情報工学科に統合する動きが活発です。就職先としては機械や自動車メーカーなどはもちろんのこと、さまざまな企業から引っ張りだこです。

農学系

次に農学系の学科を紹介します。

農学科

農学科では、植物学や作物学、昆虫害虫学などの、農業関連の内容を広く学びます。また農場実習も行います。農学科の場合は、卒業後に就職する学生が多いのが特徴で、地方公務員、食品関連の業界などへの就職が中心でしょう。また、理科の教員免許も取れるため、教員になる人もいます。

農業経済学科

名前の通り、農業と経済学を合わせ持つ学科です。農業経営、農業市場、農業政策などを研究するため、理系分野でありながら経済学・経営学、社会学などの文系要素も色濃い学科です。農学系の学科の中では比較的座学が多いものの、フィールドワーク実習を行う大学が多いです。就職先は大半は公務員を目指します。国家公務員を目指し、農林水産省に入省する学生もいます。

獣医学科

動物好きで、動物の命を守りたいとする使命感に満ちた学生が多く集まります。獣医師の資格を取るための学科であり、6年制です。獣医師免許の国家試験に不合格になると、せっかく内定をもらったところが取り消しになるという憂き目を見、その後は研究生として大学に残らざるを得なくなるケースが多いので要注意です。就職先はもちろん動物病院で、開業をする人もいますが、すでに動物病院が乱立している地域もあり、激戦であることは覚悟をしなければなりません。

畜産学科

もともとは畜産産業の発展のために立ち上げられた学科ですが、最近では生命学、共生科学を加えた3つの分野を修める必要があります。畜産系の学科は多くはありません。どの大学でも、畜産関連の実習や実験が数多く予定されています。就職先はやはり畜産・食肉業界が大多数です。他にも飼料・肥料メーカーやJAなどからも人気です。

水産学科

海洋生態学など、生物学の面での研究が主な内容です。実際はさらに漁具・漁船の開発という物理学・工学の分野や、水産流通の研究など、経済学のアプローチも必要でしょう。最近のニュースとしては、マグロの養殖に成功した近畿大学農学部水産学科の「近大マグロ」が有名でしょう。水産資源の保護や食糧問題の解決の一助となりました。就職先は水産加工の食品会社はもちろんのこと、ペットフードメーカーへの就職も見られます。

園芸学科

農学の一部で、園芸学に特化した学科です。研究対象は果実、野菜、花の育成や品種改良です。けれども、さらに拡張され、今では食品の安全性、造園、都市の緑化や街づくりにまで研究されるようになっています。就職先は地方公務員、食品関連、種苗関連、化学工業、土木・環境関連です。

医歯薬・医療系

次に医歯薬学や医療系関連の学科を紹介します。

医学科

医師になるための教育を6年間受けます。さまざまな実習や座学、試験を突破しなければなりません。6年次では卒業試験および医師国家試験の両方に合格できなければ卒業できません。卒業後はさらに2年間の臨床研修を受けて、やっと医師になれます。

歯学科

歯に関する学科で、将来は歯科医を目指します。かつては虫歯を治療するというイメージが強かった歯科医ですが、最近は歯周病や歯の噛み合わせなどの口の中全体をケアするための知識と技術を学びます。医学部と同じく6年制で、6年次で医師国家試験に合格しなければなりません。さらに臨床研修を受けなければ、病院や診療所に勤めることはできません。

薬学科

薬剤師になるためのさまざまな専門知識や技能を学びます。薬学部も6年制であり、その間深い学びを必要とします。就職先はもちろん病院や薬局が大多数です。今では薬局は、調剤薬局やドラッグストアも含まれます。それらの採用状況も激戦です。

看護学科

看護師の養成が目的です。看護師として必要とされる知識、技術、人間性を磨きます。看護師だけでなく、保健師、助産師、養護教諭などの選択肢もあります。就職先は病院が主流ですが、保健所などを選ぶ学生もいます。

放射線学科

診療放射線技師を目指すための学科です。実際は放射線技師とX線技師と2つの道がありますが、いずれも放射線治療の技術は日進月歩であり、目まぐるしく変わる技術の変化に対応できる力が求められます。学ぶ分野も生理学、病理学、電気工学、放射線物理学など幅広いです。就職先は病院で、必要とされる人数は看護師ほど多くないため、就職は易しくはないと思った方が良いでしょう。

理学療法学科

けがや病気などの理由で身体機能が低下した人を対象に、運動機能の維持や改善を図る治療のことを「理学療法」といいます。それを施す理学療法士を養成します。光や熱、電機などを患部に当てることで、患者の運動機能が良くなることを図ります。理学療法士になるためには、国家試験に合格する必要があります。合格率は70%~80%で推移しています。就職は当然ながら病院や治療院が大多数です。

作業療法学科

理学療法学科と同じく、リハビリの専門家を養成する学科です。作業療法が理学療法と異なるのは、体だけでなく、「心と体をリハビリする」という点です。作業療法は食事や遊び、スポーツや芸術に関連した「作業」によって身体や精神の障害を回復することが目的です。その違いから、コミュニケーション能力や心理学の知識が必要となります。また理学療法と同じく、国家試験に合格することが、作業療法士になるための前提となります。就職先は病院、治療院、社会福祉施設が多いです。

言語聴覚療法学科

言語聴覚士を養成する学科です。言語聴覚士は、言語・聴覚などに障害がある人のリハビリを行い、患者を支援する立場です。それらの感覚の障害を持っていて、うまく話すことができない人や高齢者で脳の病気の後遺症で失語症となった人などを助ける専門家です。さまざまな理由からリハビリの必要な人に対しますので、細かなケアができる、人間性豊かな人が求められます。言語聴覚士も国家試験に合格する必要があります。就職先はリハビリテーション科のある病院、グループホームなどの社会福祉施設などが多いでしょう。

臨床検査学科

臨床検査技師を養成する学科です。血液検査、尿検査、脳波の測定など、「検査」と名のつくあらゆる検査を手がけるのが臨床検査技師です。検査を行うことで、病気の予防や治療に関する科学的な根拠を医師に提供する仕事です。医師や看護師ほど目立つ存在ではありませんが、患者の状態を調べることで解明したい人には向いています。国家資格を合格しなければなりません。就職先は臨床検査技師として病院に勤務するほか、製薬・医療メーカーで研究職として入る人もいます。

家政・栄養学系

次に家政系・栄養学系の学科を紹介します。

家政学科

衣食住の生活全般においての質の向上を目指す学科です。ほとんどが女子の学生となります。栄養関連、被服関連の要素が強い大学もあれば、住居学という、建築学科に近い内容を学べる大学もあります。ですので、同じ家政学科であっても、扱う領域が異なることがあるので、事前に調べておくべきでしょう。就職先は流通・小売業界、サービス業、家庭科教諭があります。

管理栄養学科

人間の健康を支える食事の、栄養に関する知識と技能を身につけます。管理栄養士を養成する学科です。管理栄養士は国家資格ですから、合格する必要がありますが、その試験の出題範囲が非常に広範囲であるため、勉強がハードです。栄養学、生理学、食品学、化学などはできるのが前提です。就職先は給食施設、医療福祉施設、食品関連メーカー、さらにドラッグストアが主となっています。

被服学科

ファッション関連の知識と技能を学びます。どのようなジャンルの内容かは、大学によって異なり、それが「コース」という形で設定されています。たとえばデザイン、心理学、ビジネスなどと多岐にわたります。実際に服を作ることになるので、大学の学費に加えて、服の生地などの材料費がかかります。就職先はアパレルの小売やメーカーを志望する学生が多いでしょう。総合職や研究職、デザイナーを目指す人は、大学での学びによって専門性を高めていくことは必須です。

芸術・体育系

最後に、芸術系や体育系の学科を紹介します。

絵画学科

言わずもがな、絵を描く学科です。美術学科、芸術学科、造形学科などのコースにあります。大学の実情はというと、絵の基礎技術は大学では教えてもらえないことが多く、それは美大予備校に通って身につけなければ厳しいとされています。大学では課題が多く、作品を多数生み出さなければならない大変さがあります。将来はプロの絵描きとして目指す学生が多いですが、それはその人の力量次第です。この学科は就職先が企業でない人が多くおり、その人たちはフリーランスとして働く傾向にあります。芸術の系統に付きものの「食べていけるか問題」がつきまとう学科でしょう。

彫刻学科

美術大学に設置されている、彫刻に特化した学科です。近年は志望者が少なくなっている現象が見られます。基礎技術がそれほど高くなくても入学できますが、その後の講義や公開展などで、力の差を思い知ることもあるようです。就職先としては、絵画学科と同じくフリーランスとして働く人もいるほか、玩具メーカー、ゲーム企業などでの活躍もあります。

デザイン学科

デザインとは、見せ方を工夫する方法にこだわるという分野です。デザインとひとことで言っても、「平面系(写真・イラスト)」「空間系(環境デザイン・建築)」「プロダクト系(製品)」「ファッション系(衣服)」「情報系(CG、IT)」と幅広く存在します。そのような性格から、美術系の学科の中では最も就職に強い学科で、就職率が高めです。それぞれの系統に関する会社や企業からの声もかかりやすいでしょう。

マンガ学科

漫画家になる事を夢見る学生が集まります。京都精華大学がマンガ学部を設置したことをきっかけに、徐々に広がっています。就職先は漫画家になることの他に、ゲーム・アニメ、IT、広告・出版・印刷業が人気であり、そこへ就職する学生が多いです。また作画能力・デザイン能力を買われて、機械やアパレルメーカーから求められる人もいます。

音楽学科

幼いころから音楽に親しんできた学生が一堂に集まります。毎日ひたすら音楽の修練を行います。全国から集まるところも多く、同期の人のレベルの高さを思い知らされることも多く、音楽家への道を断念する人も少なくありません。家が裕福なところが多いのが特徴であり、器楽・声楽に関わらず家でも防音体制の整った練習場を用意しています。就職先は音楽教室の教師や音楽教諭、音楽隊、テレビ・映画、音楽関連業界に人気でしょう。

演劇学科

舞台芸術の表現や技術、理論、歴史などを学ぶ学科です。演出から演技、企画制作、ダンスなど、幅広いコースがあります。さまざまな講義を通して、舞台での表現力を磨きます。就職先は映画や舞台の世界でデビューするケースや、映像・音響関連、アミューズメントパークなどがあります。

体育学科

さまざまなスポーツや運動についての高度な知識や技術の習得を目的とします。各種競技の専門的な指導やコーチング、また体育教諭などのコースがあります。トレーニング施設が充実しているところが多いです。実技的な講義もありますが、意外にも座学も割とあります。就職先は、自分が今まで続けてきたスポーツ競技を続けると思いきや、そこでいったん区切りをつけて警察・公務員、民間企業に就職するケースが多いです。体育学科のメリットは、企業がプラス材料と見てくれることです。

学部・学科にはさまざまなジャンルがある

大学におけるさまざまな学科について紹介してまいりました。実に多くの学科や研究分野があることに気づかれたことでしょう。お子さまが大学受験をする際に、まずはこのジャンルの選定をする必要があります。そしてそのジャンルを選んだ瞬間から、半分はお子さまの人生の方向性が決まってしまいます。ですから慎重に決める必要がありますし、各大学や学科の特徴をしっかり押さえたうえで受験していかなければならないでしょう。

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