大学入試という大きな目標に向かって、日々頑張っているお子さま。その姿を応援したいと思う一方で、「スマホやゲームばかりしていて、本当に勉強時間は足りているのかしら…」と、不安を感じている親御さんも多いのではないでしょうか。そのお気持ち、非常によく分かります。現代の高校生にとって、スマートフォンやゲームは友人とのコミュニケーションや息抜きに欠かせないツールとなっており、一概に取り上げることが難しいのも事実です。
この記事では、大学入試を目指すお子さまを持つ親御さんを対象に、スマホやゲームとの上手な付き合い方について、具体的なデータと実践的なアドバイスを交えながら解説します。頭ごなしに叱るのではなく、お子さまの気持ちに寄り添いながら、一緒に解決策を見つけていきましょう。
データで見る「イマドキ高校生」のリアルな実態
まず、お子さまの状況を客観的に把握するために、最新の調査結果を見てみましょう。こども家庭庁が発表した「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」[1]によると、高校生のインターネット利用の実態は以下のようになっています。
項目 | データ |
---|---|
平日の平均インターネット利用時間 | 約6時間19分 |
インターネットの利用内容(複数回答) | 動画を見る (95.2%) 音楽を聴く (91.8%) 検索する (91.0%) ゲームをする (80.8%) 勉強をする (78.9%) |
目的別の平均利用時間 | 趣味・娯楽:約3時間1分 勉強・学習・知育:約1時間3分 |

ろ…6時間も毎日見てるの?



今の高校生は、生まれた時にはすでに普通にケータイがあったわけだから、自然なことかもしれないぞ
このデータから、いくつかの重要なポイントが見えてきます。まず、高校生が1日の大半をインターネットに費やしていること、そしてその多くが「趣味・娯楽」であるという事実です。特に、8割以上のお子さまがゲームを利用しているという点は、多くの親御さんの悩みを裏付けていると言えるでしょう。
しかし、ここで注目すべきは、約8割のお子さまが「勉強」にもインターネットを活用しているという点です。これは、スマホやインターネットが一概に「悪」ではなく、使い方次第で強力な学習ツールにもなり得ることを示唆しています。問題の本質は、スマホやゲームそのものではなく、「時間の使い方」にあるのです。



今の高校生は、英単語の意味を調べるとき、辞書なんか開きません。スマホで調べるでしょう。また、補足的な解説も場合によっては書かれているので、短時間で解決するためのアイテムにもなっています。



だから調べることを目的にするのではなく、あくまでも頭の中にインプットしたり、その内容をどのように発展できるかを考えるレベルにまで学習を広げなければ、記憶すらできないことも気づく必要があります
なぜお子さまはスマホやゲームに夢中になるのか?
効果的な対策を考える前に、なぜお子さまがそれほどまでにスマホやゲームに惹きつけられるのか、その心理を理解することが不可欠です。
スマートフォンは、友人とのコミュニケーション、情報収集、そして何より手軽なストレス解消の手段として、現代の高校生にとって不可欠な存在です。仲間外れにされたくないという気持ちや、勉強の合間のわずかな時間で達成感を得られるゲームの魅力は、大人たちが想像する以上に大きいものなのです。



私が家庭教師に行って、勉強をしている最中にも、生徒のスマホにLINEが入ってくることはよくあります。さすがに生徒は勉強中だから、受信内容の確認まではしませんが…。



その「人付き合い」も大変だよね
また、ゲームやSNSは、脳内で「ドーパミン」という快楽物質を放出させることが知られています。これにより、強い高揚感や満足感が得られるため、ついつい「あと少しだけ」と続けてしまい、結果的に長時間利用に繋がってしまうのです。これは意志の弱さだけでなく、脳の仕組みも関係していることを理解してあげましょう。
勉強時間を確保するための「4つの具体的なアドバイス」
それでは、お子さまの勉強時間を確保するために、親御さんは具体的にどのようなアプローチをすれば良いのでしょうか。ここでは、「制限」ではなく「管理」と「活用」という視点から、4つのアドバイスを提案します。
アドバイス1:対話を通じて「一緒に」ルールを決める
最も重要なのは、親御さんが一方的にルールを押し付けるのではなく、お子さまと対話を通じて一緒にルール作りをすることです。「スマホばかり見て!」「ゲームは禁止!」と頭ごなしに否定するだけでは、お子さまは反発し、隠れて利用するようになるだけです。



まあそんなこと言われてもお子さんが行動を改めることまでには至らないでしょう



よく考えてみると変だよね。だってそのスマホって親が買い与えたんじゃない?
まずは、「大学入試に向けて、一緒に頑張っていきたいと思っているよ」という協力的な姿勢を見せましょう。その上で、現在の利用状況についてお子さま自身の考えを聞き、「どうすれば勉強と両立できるか」を一緒に考えます。
具体的な進め方:
- 現状の共有:平日のタイムスケジュールを書き出し、勉強時間とスマホ・ゲームの時間を可視化する。
- 目標の設定:志望校合格のために必要な勉強時間を一緒に確認し、現状とのギャップを把握する。
- ルール作り:以下の例を参考に、守れそうなルールを一緒に決める。
- 平日は夜10時以降、スマホはリビングに置く。
- 勉強時間はスマホを別の部屋に置くか、通知をオフにする。
- ゲームは1日1時間までとし、タイマーをセットする。
- テスト期間中は、ゲームは週末だけにする。
親子で合意したルールであれば、お子さまも責任感を持ち、主体的に守ろうと努力するはずです。



結局はお子さま本人が自己管理できなければ意味がないということです
アドバイス2:「時間管理」と「賢い活用」をサポートする
ルールを決めたら、次はそのルールを守るための具体的な仕組みづくりをサポートします。
時間管理の工夫
スマートフォンのスクリーンタイム機能や、ペアレンタルコントロールアプリを活用するのも有効です。これらのツールは、アプリごとの利用時間を可視化し、利用時間を制限することができます。ただし、これも親御さんが勝手に設定するのではなく、「使いすぎを防ぐために、この機能を使ってみない?」と提案し、お子さまの同意を得てから導入することが大切です。



今はいろんなアプリがあるので、調べてみるといいですよ
スマホ・ゲームの賢い活用法
前述の通り、スマホは学習ツールとしても非常に優秀です。英単語アプリ、数式計算アプリ、有名講師の授業が視聴できる映像サービスなど、質の高い学習コンテンツが豊富にあります。お子さまの苦手科目や興味に合わせて、これらのツールを一緒に探してあげるのも良いでしょう。
また、ゲームも完全に断ち切るのではなく、「勉強を1時間頑張ったら、15分ゲームで休憩する」といったように、メリハリをつけるためのご褒美として活用することで、勉強へのモチベーションを高める効果も期待できます。
アドバイス3:集中できる「環境」を整える
お子さまが勉強に集中できないのは、意志の弱さだけでなく、環境に問題がある場合も少なくありません。物理的に誘惑を遠ざけ、勉強に集中せざるを得ない環境を整えてあげましょう。
具体的な環境づくりの例:
- リビング学習の導入:親御さんの目があるリビングで勉強することで、緊張感を保ちやすくなります。
- 自室の環境整備:勉強机の周りには、漫画やゲームなど、勉強に関係のないものを置かないようにする。
- 外部の学習スペースの活用:学校の自習室や図書館、有料自習室など、他の受験生が頑張っている環境に身を置くことで、刺激を受けることができます。
特に、勉強中はスマホを物理的に別の部屋に置くというルールは、非常に効果的です。手元になければ、ついつい触ってしまうということも防げます。



家庭教師に行くと、いろんな家族があることを知ります。特にお母さんがどれだけお子さまの学習に「適度に」関心を持ち、声をかけているかが大切で、それが絶妙な家庭の子は、初期値がどうであれ、以後伸びていく傾向があると感じています。
アドバイス4:何よりも大切な「睡眠時間」を確保する
夜遅くまでのスマホやゲームは、ブルーライトの影響で睡眠の質を低下させ、日中の眠気や集中力の低下を招きます。せっかく勉強しても、内容が頭に入らなければ意味がありません。
睡眠の重要性を伝え、規則正しい生活リズムを確立することが、受験を乗り切るための基本です。就寝時間と起床時間を決め、特に就寝前の1時間はスマホやゲームを控えるように促しましょう。これは、お子さまだけでなく、家族全員で取り組むことが望ましい習慣です。



ここのブログ主の睡眠時間、1日に4時間らしいよ。しかも夜は動画見ながら寝落ちしているらしい



ああ、だからここはノーコメントなのか



このブログの記事まとめてるの、午前の3時台だしなあ



………
親御さん自身の関わり方を見つめ直すことも大切
ここまでお子さまへのアプローチについて述べてきましたが、最後に親御さん自身の関わり方についても少し考えてみましょう。お子さまに「スマホばかり見るな」と言いながら、親御さん自身が四六時中スマホを手に取っていませんか?子どもは親の姿をよく見ています。まずはお手本を示すことも大切です。



親御さんが見本を見せるというのは大切です



この年代の子って、自分のことを棚に上げる人には厳しいからね
そして何より、お子さまとの信頼関係が全ての土台となります。日頃からコミュニケーションを取り、勉強の進捗だけでなく、学校での出来事や友人関係など、様々な話に耳を傾けましょう。お子さまが「自分のことを理解してくれている」「味方でいてくれる」と感じることができれば、親御さんのアドバイスにも素直に耳を傾けやすくなるはずです。
まとめ:お子さまの力を信じ、最適な距離でサポートを
大学入試を控えたお子さまのスマホ・ゲームとの付き合い方は、多くの親御さんにとって頭の痛い問題です。しかし、一方的に禁止するのではなく、まずはその利用実態と背景にある心理を理解することが、解決への第一歩です。
今回ご紹介した「対話によるルール作り」「時間管理と活用のサポート」「集中できる環境整備」「睡眠の確保」という4つのアドバイスを参考に、ぜひお子さまと一緒に最適な付き合い方を見つけてみてください。
大学入試は、お子さまが自立した大人へと成長していくための重要なプロセスです。親御さんの役割は、管理することではなく、お子さまの力を信じ、最適な距離でサポートすることです。焦らず、根気強く、お子さまと共にこの大切な時期を乗り越えていきましょう。
参考文献
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