新年度のはじめに、親御さんがよく考えられるのが、「お子様を塾や家庭教師で学力を上げるべきか?」といったことが、1つはあるでしょう。
大学受験を控えた子どもたちにとって、塾や家庭教師の活用は重要な選択肢の1つです。しかし、その利用にはメリットとデメリットがあり、子どもの特性に合わせて検討する必要があります。本記事では、塾と家庭教師それぞれのメリットとデメリットを解説し、どのような子どもに適しているかを考えていきます。
高校教師25年、学習塾講師3年、家庭教師5年以上の経歴がある私の得意分野です!
学習塾の現在の形態
学習塾にはさまざまな形態があります。経営母体の違いや学習方法による形態の違いとさまざまです。まず、学習塾のタイプについて紹介します。
①予備校
河合塾、駿台、四谷学院などの大手予備校が経営をしています。都心部に多く存在し、指導のプロが多く在籍している、レベルの高い塾です。独自の洗練された教材を有し、各予備校による模擬試験も定期的に実施されているため、データに基づいた進学指導が的確です。
したがって、生徒は高度な授業を生で受けられます。東大、京大、医学部などの難関大学を目指す生徒に向いているでしょう。
②自習型指導塾
ゴールフリーLabなどの自習型塾です。塾で作られた独自の課題や教材を、生徒の理解度にしたがって、学習を進めていくスタイルです。
みんなと一緒に学習を進めたなら、自分だけが理解できていないときに、それを解決せずに次へ進んでしまうというデメリットがありますが、この形態の場合はあくまでも生徒がひとりで取り組む形態なので、他の生徒の進み方に巻き込まれることなく、自分のペースで進められるメリットがあります。
また、部活動が忙しく、他の人よりも学習に取り組める時間が少ない生徒にも向いています。
「ひとりで勉強となると、わからないところにぶち当たったらどうしようもないのでは?」
と疑問を持つ方もおられるでしょう。
このタイプの塾では、その塾特製のプログラムが作られており、わからない場合に進む項目があったり、復習をしてみるフェーズに切り替わって、自分で解決ができるようになっていたり、それでもわからなければ、講師の先生に聞くことができますので安心です。
③映像予備校
東進衛星予備校、マナビスなどの塾といえばわかりやすいでしょうか。
各単元、解説動画を事前に作っており、学習する時間にそれを視聴することで、その単元を理解し、問題演習につなげていくという仕組みです。
これも生徒自身のペースで学習が進められるというメリットがあります。
時間に融通がきく生徒に向いています。
④集団指導塾
親御さんが学生だった頃は、このイメージだったのではないでしょうか?
複数人数(10~30人)を教室に集め、1人の講師が解説をしていくという形態です。
学校の授業を発展させたような感じのスタンスです。
このタイプの塾は、生徒がある程度の基礎力を身につけた状態で、標準的な内容から応用的な内容までを効率よく学習したい生徒に向いています。大学受験を念頭において学習させたいときは、このようなタイプが向いています。
⑤個別指導塾
この塾は、1人の生徒につき1人の講師がついて、学習を進めていくというタイプです。
この形態は、生徒が理解しづらい状態のときに、すぐにフォローができる体制ですので、とにかく基礎から学び直させたいときに向いています。
これら5種類のタイプの塾の形態を紹介しました。一言でも塾といっても、さまざまな方式があるため、もし塾へ通わせたいとなれば、お子さまの学力がどの程度か、塾に通わせて、お子さまをどのレベルまで引き上げたいと考えておられるのか、1日にどれだけ勉強をさせられるかなどによって、決定すると良いでしょう。
塾に通わせるメリット
塾にお子さまを通わせるメリットについては、以下のとおりです。
1. 学力向上
塾の指導により、苦手科目の克服や得意科目のさらなる伸長が期待できます。文部科学省の調査によると、塾に通う高校生の約8割が「成績が上がった」と回答しています。
2. 受験対策
塾は、入試問題の傾向分析や受験校選定、志望校対策など、きめ細かな受験指導を行います。ある調査では、高校生の約60%が塾を利用していると報告されています。
3. 学習習慣の形成
塾で学んだ問題の解決法などをその後のお子さまの学習法に適用させられるでしょう。塾の宿題や小テストなどにより、子どもの自主的な学習習慣が身につきます。学習意欲の向上にもつながります。わからないことを教えてもらうこと以上に、この学習習慣がつくという点において、学力の向上が見られると考えられます。
4. 精神的サポート
塾の講師は、子どもの悩みや不安に寄り添い、アドバイスやカウンセリングを行います。家族が解決する場合、お子さまとの関係が近すぎるので、お子さまに良い形で伝わりづらいときもあります。そこへ、その道の専門家がお子さまのフォローをしてくれると、お子さまにとって心強い後押しをしてもらえるでしょう。
塾に通わせるデメリット
一方、塾に通わせる際のデメリットについて紹介します。
1. 経済的負担
塾の費用は決して安くはなく、家計に大きな負担がかかります。特に、複数の子どもがいる家庭では、その負担は大きくなります。
2. 自主性の欠如
塾に頼りすぎると、子どもの自主性や主体性が育たない恐れがあります。受験に向けた学習は、子ども自身が主体的に取り組むことが重要です。
3. 過度な競争意識
塾通いが当たり前になると、子どもたち間の競争意識が高まり、ストレスを感じる可能性があります。
4. 学校との連携不足
塾と学校との連携が不十分だと、子どもの学習面での情報共有が十分にできず、効果的な指導につながらない可能性があります。
これに関して、ひとつ注意点があります。
それは学校と塾の片方でも批判をしないことです。
「学校の授業での教え方が悪い」
「塾は本人のために本当はなっていないのではないか?」
などです。
とくにお子さまの前では。
学校と塾では主とした指導範囲や内容が異なるため、どちらも同じ業務はしていないというのはご理解しておいてほしいことです。
家庭教師の基礎知識
家庭教師はお子さまにマンツーマンで教えてくれる、身近な存在です。とはいっても、家庭教師をどのように探し、依頼し、実際に指導をしてもらうのかについて、まずは解説します。
この記事を書いている段階で、私は5人の生徒の家庭教師をしています。小学生から高校生までさまざまです。それを通しての一般的な方法について紹介します。
家庭教師の探し方
学習塾は、その建物がデンとあるので、そこへ問い合わせればいいのですが、家庭教師の場合はどこへ連絡し、行けばよいのかわからないものです。
知り合いの伝(つて)
ひとつ目の方法は、家庭教師を知っている人から紹介してもらう方法です。ブログの主も現在、前職の方に頼まれて1人家庭教師を引き受けています。この場合、生徒側と家庭教師の候補の両方を知っている人が話を進め、どちらもOKとなれば、日程や曜日・時間を調整して実際に始める、あるいはその前に1回会って打ち合わせをする(生徒・生徒の親(1人でも可)・家庭教師・両者の調整役)という形だと自然でしょう。
この場合のメリットは、知り合いの関係ということで、家庭教師もしっかりと教えてくれるという点でしょう。また、家庭教師の謝礼も、直接支払うことになるので、手数料などはかからずにすみます。
ただ、その裏返しとして、もし生徒と家庭教師とがこじれたり、入試がうまくいかなかった場合、その後の関係が気まずくなりかねないので、普段からこまめに話題にしておいたり、現状を話し合ったりしておくといいでしょう。
ネットで調べる
たとえばネットで「家庭教師」と検索をすれば、家庭教師を斡旋しているところが探し出せます。
そこに登録をすれば、同じ町の家庭教師の候補を見つけてくれます。
いくつもありますので、よく吟味して選ぶようにしましょう。家庭教師を斡旋する組織の見定め方として、次の点を見ると良いでしょう。
- サイトがきれいで整っているか
- どのような生徒が得意な所か
- 在籍している生徒・家庭教師が多いか
- 教材がしっかりしているか
- 面倒見が良さそうか
- 登録料や謝礼は相応か(安ければよいというわけではない)
- 決まりがうるさすぎなくないか
ネットを通して斡旋するところに依頼する場合は、ほとんどの場所が独自のテキストをもっており、それに沿って学習を進めていくという方式を取っています。また、学習内容も家庭教師が斡旋組織に毎月報告をする義務があるため、きちんと指導をするように管理されています。また、気になることや家庭教師について相談をしたい場合も親御さんから斡旋しているところに相談やクレームなどを入れられるため、安心な面があります。
デメリットとしては、その組織が仲立ちをするため、その手数料が余計にかかるということでしょう。
家庭教師に指導してもらう
では実際に家庭教師に教えてもらうところの話をします。
場所はどうするか?
多くの場合、家庭教師が生徒の家に行って教えます。
教える場所は生徒の部屋か、リビング横の一室かどちらかです。
特に生徒が女の子の場合は、部屋でというのは抵抗感がするでしょうから、後者の方が良いです(私も女の子を教えるときは、そうしてもらっています)。
とにかく勉強に集中できる環境であることが大切です。
フローリングでテーブルでも、和室で低いテーブルでも構いません。
生徒と家庭教師の位置は、部屋の学習机なら隣に並ぶ形で、部屋にテーブルがドンと置かれた部屋なら、四角いテーブルの対面か90度隣かのどちらかですね。
必要なものは?
もし専用の教材があれば、その教材が必要です。
その他には学校で使用する教科書、書くためのノートまたはルーズリーフ、それから筆記用具は言うまでもありません。
ただ、ルーズリーフはバラバラになりやすいため、ファイルに綴じておいた方が良いでしょう。
お茶菓子の準備は必要?
これに関してはどちらでもいいです。
ただ、今私が行っているところに関していえば、私はそれに関しては何も言っていませんが、100%お茶は出してくださっています。
出せって目で訴えたな、主!
この記事が終わったら残っておいてもらえる?
言わなくて良かった~(汗)
ペットボトルを渡されるところも、カップにお茶を注いで持って来てもらえるところもあります。
説明をするから喉が乾かないようにということのようですね。
ただ、お菓子まではいいかなと私は思います。出たら嬉しいんですが、教えていたら食べるタイミングがなかなかつかめないんです。あと、お菓子が私だけ出されたなら生徒さん可哀そうですから…。
それは私がってことですので、出されてもいいんですよ。
ただ、一度やれば、その後からもしなければならなくなるので、「出すならずっと出す」ということでしょうか。
ちょっとエグい話ですが、ここで家庭教師の人間性や社会性を試せます。
お茶やお菓子を出した時、「いつもありがとうございます」と家庭教師が言ってくれるかどうかですね。
出して当たり前って思われていれば、その家庭教師は問題ありです。
テストの日程や成績・志望校などの情報共有を
家庭教師は結果を出さなければならないという重責が伴います。
だから、誰もがなれるわけではないのですが。
生徒がどれだけわかったか、学習の習慣がきちんとついたかというのは、定期試験をはじめとする試験の成績が物語るでしょう。
ですから、家庭教師には学校でいつ試験が行われるか、試験の成績はどうであったかの情報提供はするようにしましょう。
また、突っ込んだ指導をする人の場合は、テストの解答用紙を見ながら、1つ1つの問題の理解度を見て、家庭教師に教えてもらった項目の成果を確認し、その後の学習に反映させていきます。
実はプロの家庭教師になれば、試験前に教えた段階で、試験で取れるかどうかは見抜いてはいるんですけど…。
ただ、生徒が頑張りを見せて、いい意味でのアクシデントを起こしてくれることも期待するから、わざわざ口にはしません。
同様に大学の志望校も家庭教師と話をしておきましょう。きちんとした家庭教師なら、入試までの取り組みを逆算して「この時期には〇〇の単元を理解させておこう」などといったことを緻密に計画します。
また、入試の種類によっても準備すべきことは異なりますし、時期も異なります。早めに相談しておきましょう。
都合があって家庭教師をお願いできない日が出たとき
生徒が突然の病気になったり、部活動の都合、家の都合などで家庭教師をお願いできない日が出てしまった場合は、少しでも早く連絡を入れるようにしましょう。
連絡先は、斡旋するところがあればその会社に、個人的なつながりで始めたところなら家庭教師本人です。
斡旋するところに登録をしている方の場合は、その件については家庭教師を始める前に注意をされます。
「ドタキャンはやめるように」
とです。
これは家庭教師に対しても釘を刺しているはずです。
私も斡旋するところに登録をして、生徒が決まった時に、会社の人に言われました。
ドタキャンは、生徒さんに迷惑をかけますので、絶対に前日までには連絡をください。そうやって迷惑をかける先生もおられるので
私は思わず口に出してしまいました。
そんな非常識な先生もおられるんですね
さすがに急病だったら仕方ないですけどね。
そしてできれば別の日に振替をした方がいいです。
それは、生徒の勉強が遅れるからです。病気で学校を休んでしまったらなおさらです。
だいたい家庭教師をお願いする生徒は、継続的な勉強をさせるべきなので、そういう意味でも「家庭教師ができない=休み」と安易にすべきではありません。
それともう1つ、家庭教師側の都合を言うと、家庭教師の日がなくなると、収入も減るんですよね。それは家庭教師によっては痛いと感じることもあるでしょう。
最近はネットでも可能
最近は塾でも家庭教師でもネットで教えることが可能となりました。
皆さんよくご存じのコロナの流行に伴い、さまざまな店舗の場合、対応できなかったところは大幅な収益減や廃業を余儀なくされたのですが、塾や家庭教師はネット授業によって影響を受けずに生き残りました。むしろ需要は増えたくらいでした。
また、ネット環境により、病気で学校を欠席したものの、授業には参加できる場合もありますし、不登校によって人と会えないお子さまがひとりで勉強できる環境がありますので、よい学習の場が提供されるわけです。
家庭教師をつけるメリット
家庭教師をつけるメリットとしては、多少塾とも重複しますが、以下のとおりです。
1対1なので、生徒のわからないところだけ取り組める
家庭教師は通常は1対1で行いますので、生徒のわからない点に焦点を絞って、しかも生徒の理解度にしたがってのみ取り組めます。その分理解に至りやすく、無駄が少ないといえるでしょう。
基本から応用まで対応できる
家庭教師を依頼するところの目的は、基礎がわかっていないからお願いするケースから、大学受験対策としてお願いするケースまで個々により異なります。家庭教師は生徒の到達度に合わせて勉強を教えてくれますので、生徒は安心です。
生徒に近い存在となってくれる
家庭教師は勉強を教えることばかりが仕事ではありません。普段の生活や受験についての悩みを、生徒から打ち明けることがあります。年代的にもさまざまな悩みをもちやすい時期に、家庭教師がそれを聞いてくれるのは、生徒にとって大きな心の支えとなることでしょう。
受験のアドバイスがもらえる
家庭教師はほぼほぼ自分が大学受験や大学生活を体験したことがあります。その経験を通して、生徒に大学受験の情報や心構え、取り組み方などを教えてくれます。聞いていなければ気づかないことや、手遅れになってしまうこともありますから、非常に助かる存在といえるでしょう。
家庭教師をつけるデメリット
一方、家庭教師をつけるときのデメリットもあります。それは以下のとおりです。
費用がかかる
家庭教師をつける際には、家庭教師への報酬がかかります。月ごとにお支払いするのが一般的です。直接指導される先生には、たとえば月の最後の日にその月の分の報酬を直接先生に手渡します。指導法がZoomを利用してのもので、生徒と直接会わない場合は、銀行振り込みなどの方法を取ります。また、家庭教師の斡旋する会社を通しての指導であれば、家庭教師にではなく会社の方に振込をし、会社から家庭教師に支払う形態となります。
家庭教師にもよりますが、直接指導の場合だと、1時間で2000円~3000円といったところでしょうか。たとえば週1日2時間、時給2000円とすれば、1ヶ月で16,000円ないしは20,000円となります。
また、斡旋会社を利用する場合は、そのサイトを見て確認をしてみましょう。
少なくとも決して安い金額ではありません。将来への投資ととらえましょう。
家庭教師の質が人によって異なる
家庭教師は大学生もいれば教員生活を経た後の人もいます。キャリアは人それぞれです。
また、勉強だけでなく生徒の人格的成長の後押しをすることも、家庭教師の仕事ととらえるべきです。その中で、家庭教師の人生経験というのも問われるでしょう。もっというなら、家庭教師から醸し出される人間的なオーラ(雰囲気)もまちまちです。
そして、指導法もこれで正解というものはありません。斡旋会社を通してなら、ある程度テキストを利用しての勉強となるのであまり極端には違わないとは思います。
人と人との関係ですから、どうしても相性や合う・合わないというのが出てしまいます。そして、それはふたを開けてみなければわからない部分もありますから、100%回避することはできないでしょう。
若い家庭教師なら仕方ない部分もあり、キャリアを積んでもらいたいものですが、教えてもらう生徒からすれば、やり直しのきかない高校生活をその先生に賭けることになりますから、やはり先生の責任は重いのです。少なくとも教えることに熱心で、生徒の成長と目標達成を最優先してくれる先生でなければなりませんし、そのような先生に教えて欲しいものです。
塾・家庭教師は大学入試に必要?
塾や家庭教師は、お子さまの学力を引き上げ、大学合格という目標を明確にさせ、やる気を起こさせるのにかなり有効です。
ですから、お子さまに塾や家庭教師をと考えても十分構いません。
けれども、全部が当たりとは限りません。
そこを期待しすぎず、長期的に関わっていかなければなりません。
これはお子さまに求められる学習に関しての必要性、お子さまの性格、各教科の到達度などによるということでしょう。
そこで、ブログの主は、進路相談のコンサルを行うことを計画中です。具体的にはLINE公式アカウントに入ってくださった方に、そのような機会を設けようと思っております。
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